一番安全なメッセンジャーって結局どれなの?
「一番安全なメッセンジャーって結局どれなの?」
という質問をよくいただきます。
気持ちはとてもわかります。
LINEにWhatsApp、Telegram、Signal、名前はあれこれ聞くけれど、プライバシーの観点で本当に強いのはどれなのか、ハッキリした答えを見たことがない方も多いのではないでしょうか。
ちょうど今年の3月には、Metaが運営するWhatsAppにMeta AIでチャット履歴を整理する機能が広がって、ちょっとした議論になりました。
WhatsAppについては暗号化すらされていないスパイアプリである可能性も指摘されています。
便利なのは便利なのですが、AIとのやり取りは利用者同士のエンドツーエンド暗号化の外側で処理されているので、そこで共有した内容がどう保管されどう使われるのかが見えにくい、という指摘が出ています。
暗号化されているから安心、と思いきや、裏側の仕組みは意外と複雑なのです。
では、プライバシー重視派のあいだで評価が高いメッセンジャーはどれなのか。
ランキング的に整理してみます。
まず、一番有名でひとまず万人向けに推しやすいのがSignalです。
通信内容を読めるのは送信者と受信者だけ、運営が非営利団体というところも好まれています。
2024年にはPQXDHという後量子暗号の鍵交換方式を導入済みで、将来量子コンピュータが登場したあとでも、今の通信を遡って解読されにくい設計になっています。
今録音しておいて10年後に解読する、いわゆる harvest now decrypt later 攻撃への備えです。
すごい話です。
ただSignalには唯一と言っていい弱点があって、それが電話番号です。
登録に電話番号が必須なので、どこの誰が使っているかが電話番号という形で紐づいてしまいます。
通信内容は守れても、通信している事実そのものは隠しにくい設計というわけです。
そこで最近じわじわ支持を集めているのがSimpleX です。
一番の特徴は、ユーザーを識別するIDそのものが存在しないという点。
電話番号もメールアドレスもユーザー名もいりません。
相手と通信を始めるにはQRコードや招待リンクを一度交換するだけで、あとは匿名のまま会話が続きます。
サーバー側には、誰と誰が話しているかというメタデータすら残らない構造です。
ここにも後量子暗号が搭載されていて、プライバシー系ガイドサイトでは総合順位でSignalを上回る評価を受けることが増えてきました。
もう一つ名前を出したいのがMollyです。
これはSignalの派生アプリで、GrapheneOSのコミュニティでは定番の選択肢になっています。
公式フォーラムを眺めていると、ついこの間もMollyとSignalの違いについて熱い議論が続いていました。
Mollyの強みはSignalのデータベースをパスフレーズでさらに暗号化できること、
アプリを閉じたときにメモリ上の痕跡を消すこと、Googleのサービスなしで UnifiedPush という仕組みで通知が受けられることなどです。
一方で、そこまで必要かは用途次第という冷静な意見も飛び交っていて、読んでいるだけでも勉強になります。
結論ぽくまとめると、友達や家族と気軽に使いたいだけならSignal、電話番号すら出したくないレベルならSimpleX、Signalをさらに硬めたいならMolly、という順番が今どきのプライバシー派の定番になっています。
ちなみにAntiSpyPhone(アンチスパイフォン)はGrapheneOSを搭載した端末ですので、ここで挙げたSignal、SimpleX、Mollyはどれもそのまま導入可能です。
プロファイル機能を使えば、普段使いのLINEと、匿名用のSimpleX Chatを完全に別環境に分けておくような運用も得意なので、用途ごとに使い分けたい方には相性が良いはずです。
メッセンジャー選びは、結局のところ、誰から何を隠したいかで答えが変わってきます。
通信内容を守りたいだけなのか、通信している事実まで隠したいのか、自分が何を守りたいのかをまずイメージしてから選ぶと、どれを選んでも無駄にならずに使いこなせると思います。
一番匿名なメッセンジャーは、ひょっとしたらあなたがまだインストールしていないアプリかもしれませんね。
おまけ
変わり種のメッセンジャーとしてはWebで完全完結する
https://privnote.com/
なんてメッセンジャーも面白い使い方ができそうですね。

