せっかくのAntiSpy Phoneの「意味がなくなる」8つの行動 破られるのは暗号ではなく運用です
「この種の端末でも、過去に情報を抜かれた事例があると聞きました。実際のところどうなのでしょうか?」
お客様からよくいただくご質問です。
正直にお答えします。
そうした事例のほとんどで、破られたのは暗号ではありません。
原因は運用、つまり使い方の側にあります。
どんなに頑丈な仕組みも、使い方ひとつで意味がなくなってしまう
これが、皆様に必ず知っておいていただきたい、いちばん大切な事実です。
たとえ話:完璧な隠れ家も、住所を教えたら意味がない
AntiSpy Phoneは、たとえるなら「所在を知られていない、頑丈な扉の隠れ家」です。
・場所は誰にも知られていない(=身元と端末の切り離し)
・扉は破壊できないほど頑丈(=強力な暗号化)
この隠れ家を台無しにする方法は、2つしかありません。
1. 自分から住所を教えてしまう
2. 扉の鍵を差しっぱなしにする
過去に問題が起きた事例は、ほぼすべてこのどちらかです。
扉そのものが破られたわけではありません。
以下の8つの行動が、その具体例です。
「住所を教えてしまう」4つの行動
【1】実名契約の回線を、本命の用途に使う
回線契約には氏名・住所が紐付いています。
その回線で本命の通信をすれば、通信記録から身元まで一直線。
隠れ家に本名の表札を掲げるようなものです。
→ 対策:用途に応じて回線を分ける
【2】実名のGoogle・Apple・SNSアカウントにログインする
ログインした瞬間、その端末は「あなたの端末」として記録されます。
以後の行動は、すべてあなたに結び付きます。
→ 対策:本命の端末では実名アカウントを使わない
【3】ハンドルネーム・連絡先・Wi-Fiを使い回す
用途Aと用途Bで同じ名前や接続先を使うと、突き合わせで「同一人物」だと分かってしまいます。
点と点が線でつながるイメージです。
→ 対策:用途ごとに分離する(プロファイル分離が有効です)
【4】写真の位置情報とクラウド自動バックアップを有効のままにする
写真には撮影場所の座標が埋め込まれることがあります。
また、クラウド自動バックアップは、端末の中身を暗号化の外側事業者のサーバーへ複製する行為です。
端末がどれだけ固くても、複製された側から漏れます。
→ 対策:位置情報の埋め込みはオフに。バックアップは手元で管理する
「鍵を差しっぱなしにする」4つの行動
【5】4〜6桁の数字だけの暗証番号を使う
8つの中で、これが最重要です。
理由は次の節で詳しくご説明します。
→ 対策:長い英数字のパスフレーズにする(必須)
【6】端末をロックせずに放置する
ロック解除中の端末は、暗号が「開いた」状態です。
玄関の扉を開けたまま外出するのと同じです。
→ 対策:手を離すときは必ずロック
【7】開発者向けオプションを有効のままにする
外部から端末に接続するための裏口が開きやすくなる設定です。
日常利用で必要になることは、まずありません。
→ 対策:使わないときは無効化
【8】自動再起動を無効にする
端末がいちばん固いのは、「再起動した直後、まだ一度もロック解除していない状態」です。
この状態では、暗号鍵が金庫の奥にしまわれたまま。
自動再起動は、放置された端末を定期的にこの「いちばん固い状態」へ戻してくれる機能です。
→ 対策:有効のまま使う
なぜ「数字だけの暗証番号」ではいけないのか
「何度も間違えるとロックされるから、6桁でも大丈夫では?」半分は正解です。
AntiSpy Phoneには、暗証番号の試行に待ち時間を強制する専用のセキュリティチップが載っています。
現状、このチップのおかげで、総当たり(あらゆる番号を機械的に試す攻撃)は実用的に成立しません。
ただし、これは「チップに欠陥が見つからない限り」の話です。
数字6桁の組み合わせは、わずか100万通り。
チップの防御を迂回する方法が将来ひとつでも見つかれば、専用機材の前では一瞬で試し尽くされます。
実際、この種の解析機材を提供する企業は世界中の捜査機関などに存在し、チップを破る研究は常に続いています。
一方、長い英数字のパスフレーズは、組み合わせの数そのものが天文学的です。
チップの防御に頼らず、計算量だけで総当たりを不可能にします。
チップは「保険」、パスフレーズは「本体」。
だからこそ、パスフレーズの設定は必須なのです。
覚えやすく強いパスフレーズのコツは、無関係な単語をいくつもつなげることです
(「correct-horse-battery-staple」のような形式。この例自体は有名なので使わないでください)。
裏を返せば:適切に使えば、暗号を破るのは非常に困難です
過去に問題が起きた事例の原因は、突き詰めると次の3つに集約されます。
1. 弱い暗証番号を使っていた
2. ロックを解除した状態で端末を取られた
3. 端末ではなく、本人のクラウドアカウント側が侵害された
いずれも、破られたのは扉ではなく運用です。
端末そのものよりも、人間の運用のほうが穴になりやすい。
これが実情であり、だからこそ本記事のような内容を率直にお伝えしています。


