
位置情報の追跡拒否の最終兵器? GPSブロッカーという禁断のガジェット
追跡を遮断する装置「GPSブロッカー(GPSジャマー)」
という言葉を聞いたことはありますか?
これは、スマートフォンやカーナビなどが受信しているGPS信号を妨害し、現在地を特定されないようにするための装置です。
多くの製品はUSBメモリのような形をしており、車のシガーソケットに差し込んで使用するタイプや、持ち運び可能なポータブル型もあります。電源を入れると、周囲数メートルから十数メートルの範囲でGPSの受信を妨げ、地図アプリや追跡タグ、車両管理システムなどが「現在地を見失う」状態になります。
実際、海外の通販サイトではこのような製品が多数販売されています
たとえば、
「GPS Jammer」「GPS Blocker」「Mini GPS Jammer」「Anti Tracking Device」
といったキーワードで検索すると、Amazonをはじめ、AliExpressやBanggood、DHgateなどの通販サイトで簡単に見つけることができます。
価格は数千円程度のものも多く、見た目にはあまり怪しさを感じさせません。
しかしご注意ください。日本国内においては、これらの機器を使用するは電波法違反となる可能性があります。
理由は、
無線通信を故意に妨害する行為が「不法無線局」として厳しく規制されているためです
実際に、GPS付き重機の盗難防止装置を無効化する目的で使われた事例では、業者が摘発されました。
また、
個人がストーカー行為の対策として使用し、書類送検されたケースもあります。
GPS信号は人工衛星から発信されているため、非常に微弱です。
そのため、近距離で同じ周波数帯にノイズを出すだけで、簡単に受信を妨げることができます。ジャマーはこの性質を利用して、GPSの周波数帯(L1帯など)にノイズ信号を発信し、受信そのものを不可能にしています。
ところで、「GPSが届かない空間」といえば、映画館やコンサートホールを思い浮かべる方も多いかもしれません。
以前は建物の構造や立地によるものとされていましたが、現在ではそれに加えて、携帯電話抑制装置(セルブロッカー)が導入されている施設も増えています。
これらの装置は、特定の周波数帯にごく弱い妨害電波を流すことで、携帯電話の電波が届きにくい環境を意図的に作り出します。
ただし、設置には総務省の許可が必要であり、劇場やコンサートホール、特定の病院など、限られた施設でのみ合法的に使用されています。個人が勝手に設置・使用することはできません。
では、
GPSによる追跡を避けたい場合、どのような合法的手段があるのでしょうか
例えば、
スマートフォンの設定で位置情報をオフにする
機内モードにする
Faradayポーチ(電波遮断ポーチ)に入れて保管する
などが挙げられます。
これらは法律に抵触することなく、電波を遮断する実用的な方法です。
もちろんAntiSpyPhoneようなOSで位置情報の送信を遮断する匿名性の高いスマートフォンを使うのは有効な対策と言えるでしょう。
GPSブロッカーは、たしかにスパイ映画の世界では魅力的に映るガジェットかもしれません。
しかし、現実には使用は法に触れるリスクを伴います。
プライバシーを守るには、合法的かつ現実的な手段を選ぶほうが賢明です。
映画館のような通信遮断空間を参考にしながら、自分に合った安全な方法で位置情報の管理を心がけてみてはいかがでしょうか。