追跡してくる広告はもうウンザリ!「Torブラウザ」を普段使いしてネットの透明人間になる方法
突然ですが、インターネットをしていて「気持ち悪いな」と思ったことはありませんか。
たとえば、ふと気になって調べた「育毛剤」や「ダイエットサプリ」の広告が、その後どのサイトを見ても、まるで執念深い元恋人のように追いかけてくるあの現象です。
昨日見ていたスニーカーが、今日のニュースサイトの脇にも、SNSのタイムラインにも現れる。
「お前、これ欲しかったんだろ?忘れてないぞ」と言わんばかりの圧力。
便利を通り越して、もはやホラーですよね。
最近では「Cookie(クッキー)の規制」なんて言葉をニュースで耳にすることも増えましたが、巨大IT企業たちはあの手この手で私たちの行動データを収集しようとしています。
AIが進化して、私たちの検索履歴や閲覧行動は、ますます「金になる資源」として狙われているのです。
そこで今回は、そんなネットの監視社会からスルリと抜け出すための秘密兵器、AntiSpyPhoneにもインストールされている「Tor(トーア)ブラウザ」についてお話しします。
「Torって、あの闇サイトとか見るための怪しいやつでしょ?」と思ったあなた。
その認識は、半分正解で半分間違いです。
実はこのTor、正しく使い倒せば、一般市民のプライバシーを守る最強の盾になるのです。
今日は難しい専門用語は抜きにして、この「玉ねぎ」のマークでおなじみのブラウザを、私たちの日常でどう使い倒すか、その面白さとコツをご紹介します。
そもそもTorとは何か、高校生でもわかるように一言で言えば、
「ネット上の身元隠しリレーシステム」です。
通常、私たちがウェブサイトを見ると、あなたのパソコンやスマホから「ここを見せて」というリクエストがサーバーに直接届きます。
つまり、相手にはあなたの住所(IPアドレス)がバレバレです。
しかしTorを使うと、世界中にボランティアで設置されている無数の中継ポイントを、ランダムに3つほど経由してから目的地にたどり着きます。
日本から出発して、ドイツを経由し、ブラジルを通り、カナダから相手のサイトにアクセスする、といった具合です。
これを「玉ねぎの皮(層)」に見立てて、The Onion Router(ザ・オニオン・ルーター)、略してTorと呼ぶわけです。
これなら、追跡しようとする広告業者も「えっと、この人はブラジルの人?いやドイツ?誰?」と混乱して、あなたを特定できなくなります。
では、このTorブラウザを具体的にどう「使い倒す」のか。
ただ怪しいサイトを見るためだけではありません。賢い大人の使い方はこうです。
その1:プライベートな悩みの検索に使う
これが一番実用的です。
病気の症状、借金の相談、あるいは家族にも言えない個人的な趣味。
これらをGoogleChromeやSafariで検索すると、履歴が残り、関連広告が出まくり、最悪の場合、共用のパソコンで家族にバレるなんて悲劇も起きます。
しかしTorなら、検索したという事実ごと闇に葬れます。
誰にも知られず、誰にも記録されず、ただ情報を得る。
これこそ本来のインターネットの自由です。
その2:航空券やホテルの予約サイトを見てみる
実はこれ、裏技的な使い方です。
一部の予約サイトや航空会社は、アクセス元の国や閲覧履歴によって価格を変える「ダイナミックプライシング」を導入していると言われています。
何度も同じ路線のチケットを検索していると、「こいつは絶対にこのチケットが欲しいんだな」と判断され、価格が微妙に上がることがあるのです。
そんな時、Torを使って「別の国からの初見の客」になりすますことで、フラットな価格、あるいは物価の安い国向けの価格で予約できる可能性があります。
必ず安くなるわけではありませんが、試してみる価値は十分にあります。
その3:海外のニュースサイトを見る
最近の世界情勢は不安定です。国によっては情報統制が行われ、特定のニュースサイトが見られなくなることがあります。
日本はまだ自由ですが、海外旅行中や出張中に、現地のWi-Fiから日本のサイトに繋がらない、なんてこともあります。
そんな時、Torを使えば検閲をすり抜けて、自由な情報にアクセスできます。
これはジャーナリストや活動家が愛用する本来の使い方ですね。
さて、ここまで良いことばかり書きましたが、Torを使い倒すには「忍耐」も必要です。
ここからは、くすっと笑える(でも切実な)デメリットもお伝えしておきます。
まず、とにかく「遅い」です。
世界中のサーバーを3つも経由して寄り道しているわけですから、当然です。
クリックしてからページが開くまで、一呼吸どころか、コーヒーを一口すするくらいの余裕が必要です。
5Gだ光回線だというこの時代に、あえてダイヤルアップ接続時代のようなスローライフを体験できます。
「便利さと引き換えにプライバシーを売っていたんだな」と実感できる瞬間です。
次に、「ロボット扱い」されます。
Torからのアクセスは、ウェブサイト側からすると「身元不明の怪しいやつ」です。
そのため、Google検索などをしようとすると、頻繁に「私はロボットではありません」という認証を求められます。
「信号機の画像をすべて選んでください」
「横断歩道のタイルを選んでください」
これを延々とやらされます。
Torを使っていると、人類の誰よりも信号機と横断歩道を見分ける能力が高くなるでしょう。
プライバシーを守るためには、AIの教師データ作成を手伝わされるという皮肉な労働も受け入れなければなりません。
それでも、私は皆さんに一度Torブラウザを体験してみてほしいと思います。
なぜなら、「透明人間になって街を歩く感覚」は、今の監視社会では得難い快感だからです。
普段、私たちがどれだけ多くのトラッカー(追跡プログラム)に背中を見られているか、Torを使うことで逆説的に理解できます。
AntiSpyPhoneのようなハードウェアで物理的に盗聴や監視を防ぐことはもちろん重要です。
それに加えて、ソフトウェアの面でも「自分のデータは自分で守る」という意識を持つこと。これが、現代を生き抜くためのリテラシーです。
Torブラウザは無料で、誰でもダウンロードできます。
普段使いのブラウザにするには少々不便ですが、「絶対に足跡を残したくない検索」や「広告に汚染されていない純粋なネットサーフィン」を楽しみたい時のサブ・ブラウザとして、これほど優秀なものはありません。
さあ、あなたも玉ねぎの皮を被って、デジタルの迷宮へ出かけてみませんか?
ただし、信号機の画像選びに疲れても、スマホを投げないでくださいね。
そこだけは自己責任でお願いします。



